低血糖の主な症状
低血糖とは
低血糖とは、高血糖とは逆で、血液中のブドウ糖の濃度が低くなっている状態を指します。正常な血糖値は70-109mg/dlとされており、これより低い場合に一般的に「低血糖」と判定されます。
多くは糖尿病の方に起こるものですが、そうでない方にも起こり得ます。低血糖状態を放置すると昏睡などの状態に陥ることがございますが、初期症状に気づいて早期に適切な対応をとれば回復します。
ここでは、特に糖尿病の方の低血糖について、説明して参ります。
低血糖による症状
低血糖の程度に応じて、以下のような症状が見られます。
血糖値 | 症状 |
---|---|
60mg/dL~45mg/dL |
|
45mg/dL~30mg/dL |
|
30mg/dL以下 |
|
無自覚低血糖とは
無自覚低血糖とは、低血糖を繰り返すことで、多少の低血糖では症状を自覚できなくなった状態です。気づかないまま低血糖状態を放置することになり、危険です。
無自覚低血糖と指摘された場合には、一定期間低血糖を起こさないようにして、身体が再度低血糖に反応する(症状が出る)ようにしていくことが必要になります。
低血糖の分類
反応性低血糖症
食後、血糖値が急激に上昇し、ピークに達した途端、再度急激に下降するタイプです。食後3~4時間で、血糖値が空腹時の半分ほどにまで低下してしまうこともございます。ピーク後の急激な血糖値の下降によって、重度の低血糖に陥ると、生命にかかわる事態となります。
また、インスリンが遅れて、かつ大量に分泌されるため、太りやすくなります。これは、インスリンに脂肪の合成を促進する働きがあるためです。
無反応性低血糖症
インスリンの分泌が不安定であり、食後も血糖値が上がらないタイプです。若い方によく見られます。
食後の血糖値の上昇は一定程度必要なものであり、これがないと脳や身体が必要とするエネルギーが確保されず、強い疲労感・倦怠感を覚えます。
乱高下型低血糖症
血糖値が上昇したり下降したりを繰り返すタイプです。
身体だけでなく、脳へのエネルギーの供給が不安定となるため、喜怒哀楽の感情の急変など、精神症状が見られることもございます。
低血糖の原因・
起きやすいタイミング
低血糖に適切に対応するためには、低血糖の原因や、起こりやすいタイミングを把握しておくことが大切です。
食事
- 食事量が少ない、食事を抜いたとき
- 食事の時間が遅くなったとき
- アルコールをたくさん飲んだとき
運動
- 激しい運動をしたとき
- 長時間の運動をしたとき
- 空腹のまま運動をしたとき
飲み薬(血糖降下薬)
- 薬の量や種類を間違えたとき
インスリン注射
- 量が多すぎたとき
- 注射してすぐに運動をしたとき
シックデイのとき
シックデイとは
糖尿病の人が体調を崩したり、風邪をひいたりした状態のことを指します。
発熱などの不快な症状によって必要な食事を摂りにくいこと、病気に対してさまざまなホルモンが分泌されることから、血糖コントロールが難しくなります。
シックデイで食事が摂れない場合に備えて、医師から正しい対応を教わっておくことが大切です。
糖尿病による頭痛
糖尿病の症状として、喉の渇きや倦怠感とともによく見られるのが、頭痛です。
高血糖状態が血流を低下させ、肩や首のコリを引き起こし、これが慢性的な頭痛につながります。
低血糖による頭痛
高血糖のときだけでなく、低血糖になって頭痛が起こることもございます。
これは、中枢神経へのエネルギーの供給が不足したり、アドレナリンの分泌が促進されて血管が収縮することで起こるものと考えられます。
低血糖のなった場合の
対処法
低血糖の症状に気づいたときには、速やかに血糖値を上げることが最重要になります。
簡易血糖測定器によって血糖自己測定を行えば低血糖を確認できますが、先に食事によって血糖値を上げることを優先してください。
血糖値をあげる食べ物
- ブドウ糖10g
- ブドウ糖を含む清涼飲料水150~200ml
- 砂糖20g
※αグルコシダーゼ阻害薬を服用している場合には、必ずブドウ糖を補給してください。
注意点
- 車やバイクを運転しているときには、すぐに運転を中止し、上記の対策を講じてください。
- 補給してから15分が経過しても低血糖症状が続く場合には、再度同じものを摂取します。
- 飴、チョコレートなどのお菓子は、消化吸収に時間がかかるため、すぐに血糖値を上げられません。
- 人工甘味料を使用している清涼飲料水は、血糖値を上げられません。
- 意識障害がある場合には、直ちに医療機関を受診してください。
低血糖を起こさない為に
日常からできること
低血糖を起こした場合の対応を覚えておくことは大切ですが、日ごろの心がけによって、低血糖が起こるリスクを下げることもできます。
- 医師の指示を守って薬を使用する
- 血糖自己測定を行いながら血糖コントロールを図る
- 起床時間や就寝時間をできる限り一定にする
- 毎日、決まった時間に、必要な量の食事を摂る
- 急激な運動、空腹時の運動を避ける
- ブドウ糖を常に携帯する
万が一の事態に備え、家族、同僚、友人など、同じ時間を過ごすことの多い人に、ご自身が糖尿病であること、低血糖状態になったときに必要になる対処法について伝えておくと安心です。